滋賀県砕石協同組合デザイン案
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湖国滋賀石ものがたり

石ものがたりPart1
Stone's Story
標本・写真は磯部鉱物化石標本室(磯部敏雄氏)による

『たかが〇〇、されど〇〇』という言葉(注・・・"たかが”とは、どんなに高く評価しても、その程度は知れたものだと軽視する言葉。"されど”とは、だが・しかしの意味)があります。
その言葉の〇〇に"石”を入れると、『たかが石、されど石』となります。そこで"石”についてお話してみましょう。
一般に"石”といってもその分類は、岩石・鉱物・化石・宝石・隕石・珍石・奇石・盆石・水石等があります。
道端に転がる小さな石ころから、一つ何百万円もする宝石まで石は様々です。
では、石と人間の係りはいつごろからでしょう。
人類は今から約二百万年前に地球上に現われたといわれています。その人類が最初に手にしたのは『石器』です。人類は石をうまく加工し、狩りの道具に使いました。それも、硬い石ばかりを選んだようです。おそらく、どんな石が硬いか判断できたのでしょう。また、土をこねて『土器』も作りました。やがて銅や鉄という金属を見つけ、道具は大きく進歩しました。
人類は地下資源を最大に利用し、今日のすばらしい文明を築き上げました。
今、人類は月の石の研究をはじめ、宇宙のはるか遠くまで探査機を飛ばし、宇宙の起源にまで迫ろうとしています。
こうした人類の進歩・発展の礎となったのは"石”です。
このように"石”は『たかが石』とはいえません。
ふと手にした一つの石からはいろいろなことを知ることができます。
私達の郷土滋賀県の石からも、そのいくつかを紹介してみましょう。

玉滴石近江八幡市(旧安土町)

玉滴石

何やら泡のような形ですが、宝石のオパールの一種です。玉滴石は形や産状から名付けられたもの。玉滴石に紫外線(ブラックライト)を当てると、美しい緑色の蛍光反応があり、"光る石”としても人気があります。

ベスブ石日野町

ベスブ石

イタリアのベスブ火山で発見されたことからベスブ石と名付けられています。石灰岩がマグマの熱によって変化した場所に見られる鉱物で、美しいものは宝石に利用されています。滋賀県のベスブ石はアメ色透明が多いです。

電気石米原市(旧伊吹町)

電気石

一時期、"マイナスイオンを出す石”として有名になった電気石。その石を熱したり、力を加えたりすると結晶の両端に微弱な電気が生じることから名付けられました。黒色が多いが、ピンク色や緑色は宝石になります。

水晶湖南市(旧甲西町)

水晶

鉱物の中でも最も人気のあるもので、特に滋賀県は水晶の多産地として国内でも有名。水晶は淡い黒色の『煙水晶』が多く、花崗岩中に"晶洞”と呼ばれる空洞部があると何十個と集中して産出します。

トパーズ大津市

トパーズ

11月の誕生石として有名なトパーズですが、日本産は無色透明が多く、滋賀県も田上山から莫大な量のトパーズが産出し、海外に流出しました。田上山のふもとあたりの川の中から見つかるトパーズは"川トパーズ”として有名で、その輝きは水晶よりも美しいです。

水晶長浜市(旧西浅井町)

水晶

水晶の大きな結晶が算出するのは花崗岩ですが、マグマの熱が原因で、大きな石英の脈を作ることがあります。石英の脈中には無色透明の水晶が何十本も集合して、花の様な状態で産出することが多いです。

バラ輝石東近江市(旧永源寺町)

バラ輝石

マンガンを含むピンク色の鉱物。大変硬く重さもあります。マンガン鉱山では必ず産出する代表的な石。ピンク色でも美しいものは研磨されて宝石に利用されることが多いです。マンガン鉱物は外見が黒色ですが、割ると色の鮮やかなものが多いです。

鍾乳石多賀町

鍾乳石

木の年輪を思わせる鍾乳石の断面。鍾乳洞では必ず見られる鍾乳石は、1cm成長するのに百年が必要ともいわれます。その成長は断面に見る年輪が物語っていて、研磨すると同心円が大変美しく見られます。

方鉛鉱東近江市(旧永源寺町)

方鉛鉱

鉛の鉱石の代表で、色は銀白色。海底火山の噴出物からなる緑色岩に、熱水と呼ばれる鉱水が作用して鉛ができます。方鉛鉱は形がサイコロの様に四角形で、割ると輝きのある銀白色が特徴。

サンゴ化石米原市(旧伊吹町)

サンゴ化石

伊吹山は化石の産地として有名ですが、特にサンゴ化石は伊吹山ができた場所を証明するものです。サンゴは暖かい海で成長するもので、サンゴ化石から伊吹山は赤道付近で誕生したことがわかります。

沸石東近江市(旧永源寺町)

沸石

熱すると水分を出し、その様子がまるで沸騰しているように見えることから名付けられています。沸石には多くの種類があり、ニオイを取る性質があります。この性質を利用して、ペット用のトイレやクツのニオイ消しの製品が開発されています。

砂金高島市(旧今津町)

砂金

滋賀県内の河川では一部を省き、どの川でも砂金が見つかります。ただし、砂金と言っても1mm以下で重いため、川底にたまります。しかし産出量や産状から砂金採集で生計はたてられません。

褐簾石米原市(旧伊吹町)

褐簾石

放射能鉱物の一種で、褐簾石が多く含まれる地域で温泉が出れば、ラジウム温泉として人気があり、放射能鉱物は周囲の鉱物にハロと呼ばれる変化(茶色に変化)を与える。伊吹町の褐簾石は原子爆弾の研究に使われたとの話もあります。

ザクロ石日野町

ザクロ石

結晶の形が果実のザクロの実に似ていることから名付けられています。色の赤いものは、1月の誕生宝石に使われ、色の悪いものは研磨剤として利用されています。レインボーガーネットは、このザクロ石が虹色に見えるものです。

スズ石大津市

スズ石

スズの唯一の鉱石で、花崗岩に多く含まれます。花崗岩は風化(岩ぐさり)しやすく、スズ石が山中の小さな川や、ふもとの川底にたまることが多く、写真は川底から採集したスズ石で"砂スズ”と呼ばれます。

方解石多賀町

方解石

滋賀県東部の霊仙山や伊吹山は石灰岩からできていて、その成分である炭酸カルシウムが結晶した鉱物が多い。その代表が方解石で、場所によっては50cm以上の大きさもあります。

カドミウム鉱湖南市(旧石部町)

カドミウム鉱

黄色部分がカドミウム鉱。カドミウムと言えば、例のイタイイタイ病の原因となるが、カドミウムの黄色は顔料(岩絵具)として、古代から人類は利用してきました。カドミウムのまわりの黒色は閃亜鉛鉱です。

ホタル石甲賀市(旧土山町)

ホタル石

この石の粉末を炭火に落とすと、ホタルの様に光ることからホタル石といわれています。色は白色・ピンク・紫色・水色と様々ですが、緑色はエメラルドに似て高い人気があります。ホタル石からはフッ素を取ります。

魚眼石日野町

魚眼石

色や形が魚の眼に似ることから魚眼石といいます。石灰岩地帯にマグマが作用すると、マグマの熱によって様々な鉱物ができます。その一つが魚眼石。世界的にはインドが有名だが日本国内でも産地は多い。

パイロクスマンガン鉱高島市(旧朽木村)

パイロクスマンガン鉱

黒色のイメージが強いマンガン鉱物ですが、この石はピンク色のマンガン鉱として人気があります。色の美しいものはマンガン鉱として利用されるより宝石にされたりします。

黄銅鉱湖南市(旧石部町)

黄銅鉱

銅の鉱石の代表。黄色部分が銅鉱石。石部には古くから銅を採掘した鉱山があり、かつて仏像建立時に採掘されたともいわれています。人類が銅製品を手にしたのは、こうした銅鉱物から銅を取り出したと考えられます。

輝水鉛鉱湖南市(旧甲西町)

輝水鉛鉱

一見、銀のようだが、銀とは硬さや産状で区別でき、モリブデンの鉱石として重要な石。花崗岩の割れ目などに点々として産出し、紙のように軟らかいのが特徴です。

孔雀石湖南市(旧石部町)

孔雀石

まるで北海道のマリモを思わせるほど美しい鉱物です。色が鳥の孔雀に似ることから名付けられ、美しいものは宝石に利用されます。また、緑色の顔料(岩絵具)としても人気があり、孔雀石はクレオパトラも愛した石といわれています。

水晶多賀町

水晶

小さな水晶の結晶がいくつも集まって花の様な形をしています。小さな水晶が数多く群晶したものを"トッコ”と呼び、水晶の大きさは1cm以下ですが、トッコとしては1mに達するものも産出しています。

黄鉄鉱甲賀市(旧土山町)

黄鉄鉱

山中ではよく、金とまちがわれることが多く、"おろか者の金”とも呼ばれます。黄鉄鉱といっても硫黄が入っているため、鉄の鉱石としては利用されません。鉱物の中でも最も普通に見られるもので、新鮮なものは金色をしていますが、変色すると茶色になります。

滋賀石栗東市(旧栗東町)

滋賀石

新しく発見された鉱物名は産地名や成分から名付けられることが多く、滋賀石はマンガンを含む鉱物の一種で、世界で唯一の産地となっていますが、現在では産出鉱山がなくなり、採取できなくなりました。

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